“まさに、ベストケース・シナリオだ!”…注目のコラボが生んだ 「LALALALALALALALALALA (Tokyo Version)」。話題の楽曲がMIKOLASとSKY-HIのコラボによって、装いも新たにリリース。 原曲の「LALALALALALALALALALA」 はチェコ共和国出身のアーティストMIKOLAS(ミコラス)が2019年に制作。その後、日本語訳が付いた同曲の動画が500 万回以上再生され、日本で大バズリ。そんな経緯を持つこの曲が、今回SKY-HI(スカイ ハイ)とのコラボによって、「LALALALALALALALALALA (Tokyo Version)」として新たに発表された。チェコで最もストリーミングされているアーティストMIKOLASと、ラッパー、トラックメイカー、プロデューサー。アーティスト、CEOとして、ボーダレスTOKYOを象徴する、アイコニックな活動を展開しているSKY-HI。いかなる交錯、ケミストリーが起きたのか、コラボレーションの舞台裏に迫った!
インタビュー=吉田直樹(OUT of MUSIC) 写真=Cosufi(コスフィー)
「LALALALALALALALALALA (Tokyo Version)」
ベストケース・シナリオのコラボレーション
――MIKOLAS(ミコラス)さんの楽曲「LALALALALALALALALALA」 はもともと2019年に作られた曲で、その後日本語訳が付いた同曲の動画が500 万回以上再生され、日本で大バズりしました。当時MIKOLASさんは、日本でヒットしたことに対してすごく驚き、うれしかったとコメントされていたましたが、そんな経緯のこの曲が、今回SKY-HI(スカイハイ)さんとのコラボによって、「LALALALALALALALALALA (Tokyo Version)」として新たにリリースされました。このプロジェクトのきっかけは、SKY-HIさんがナビゲーターを務めるラジオ番組「DIVE TO THE WORLD 」にMIKOLASさんが出演、意気投合し今回のコラボにつながったとのことで、そこから友人としてさらに親交を深められたと思うのですが、実際にお二人が、一緒にレコーディングしてみて、アーティスト同士として、改めて感じたことを伺えますか?
MIKOLAS●いまお話にあったとおり、知り合いや友人だとしても、実際に他のアーティストとコラボレーションするときは、たいてい「どうなるかわからない状態」から始まります。人によっては、トップライン(ボーカル、メロディライン)だけしか書いていない人だとか、他のプロデューサーが現場にいたり、それこそゴーストライターがいたり!? というケースもありましたが、僕たち二人は、本当に二人ともボーカリストだし、ソングライターでもあり、プロデューサーもやるということで、いろんなレベルで共感でき、繋がることができ、直接やりとりをすることができました。結果として「ベストケース・シナリオ」というか、一番いい形でのコラボレーションができたと感じています。初めは「どうなるのかわからない」という状態だったけど、二人でやり始めてすぐ「ベストケース・シナリオ、一番いい形じゃん」と分かったし、それ以降はリラックスして制作できました。
SKY-HI●本当に、良いコミュニケーション、良いセッションができましたね。ここ何年かコライト(Co-Write)ばかりしているし、スタジオでそのままリリックも含め仕上げるみたいな制作スタイルが多くて、今回も含めて、それ自体は珍しいことではないですが、今回特別だったのは、すごくMIKOLASの耳が良くて、ディレクションの感覚がクリアなんです。彼にとっては他の言語のはずなのに、日本語の発声に関しても「ここもっと違う音、出せない?」とか「違うトーンだと、どうだろう?」とか、「そのトーンを優先して、この日本語しゃべっちゃうと意味がおかしくなっちゃうから、歌詞変えるね」とか、楽曲に対して何を求めているか、それがすごくクリアだから、発声やそのサウンドがマッチするかどうかについて、気兼ねなく、忌憚なくやり取りができましたし、それが遊びっぽくもあり、ゲームっぽくもあって、すごく楽しい集中した時間でした。いい緊張感もあったし、決して長い時間じゃないけど、刺激的なコミュニケーションになりました。
――すごくいい制作現場だったんですね。お互いが触発しあって、どんどんケミストリーが生まれたんだろうなと想像しました。そもそも「LALALALALALALALALALA」という曲は、MIKOLASさんの個人的な体験がもとになっていて、もうこの恋愛は「終わり」と言っているのに、相手は「終わってない」、終わったという認識がないという嚙み合わない状況での気持ちを吐き出した楽曲ですよね。コーラス(=サビ)の〈lalalalalalalalalala〉という言葉とメロが、その気分をすごく象徴している、そういう曲です。そうした曲に対して、お二人が、新たな表情、装いをどのように与えていくのか、とても楽しみでした。相手や楽曲への理解が深く、その場のお互いの感覚で柔軟に対応して出した答えなのだろうなと思いました。
MIKOLAS●本当に、このコラボレーションは楽しかったです。ボーカルアプローチについて言えば、曲にあった声のトーンがあると思うのですが、もともと原曲をレコーディングしたときも、自分自身もこの曲にフィットする歌い方、声の色彩感など、正解を見つけるのに時間をかけました。この曲はリラックスして、力が抜けているけど、きちんと狙ったニュアンスにフォーカスしているんですね。それに対してどうアプローチすればよいか、その最適解を、SKY-HIさんはすごく早く察知をする。この曲のバイブスに合うように、自分のボーカルをどこにもっていけば良いのか、すごく早く察知してくれるんです。歌い方としては、ユニゾンで歌っている、彼のボーカリストとしてのすごさがわかったのは、すぐできること、高く声を枯らした感じだったり、低くクールな感じで抑えめのところもできる。誰もがみんな、そんなにできるわけではない。歌い分けとか、そういったところも、言ったら(答えが)帰ってくるし、楽しかったです。
SKY-HI●うれしいし、ありがたいです。どういう発声にするべきかというのは、MIKOLASが答えをもってくれてました。自分は、彼が求めてくれていることに、最適なトライができるように、ひたすら頑張りましたという感じが近いです。それが面白かった。
――この曲でのSKY-HIさんボーカル、声質は、独特の塊感、質感とバイブレートを帯びていて、かつ、曲にマッチしているなと感じました。最速で最適解を出せた、そんな印象を受けました。
SKY-HI●早くしないと、完成しないもんね(笑)。手数をいっぱい出して、選択肢をたくさん出して、そこからベストなものを最速で選んでいく。「こういうのどうだろう?」という提案に対して「これしかできません」となっちゃうと、コラボレーションがフレッシュじゃないなって。「こう思うけどどう?」って投げたら、イイと思ったら「イイね!」と言ってくれるし、違うと思ったら「違う!」と言ってくれる。違う場合も代替案をすぐ出して「これだったらどう?」というのも言ってくれるし、そのやり取りは、早いほうがいいでしょ。LINEのやり取りみたいなものですよね。メールのリズムではない、LINEの即時性のやり取り。
――お互いのイメージがクリアで音楽的かつ詩的ボキャブラリーも豊富で、ポンポンとキャッチボールをして即時にこたえを出していく。
MIKOLAS●まさにコラボの「ベストケース・シナリオ」(一番いいかたち)でしたね……(後半へ続く)
※このインタビューの全編は、次号OUT of MUSIC87(2025年1月下旬発刊予定)に、もしくは、この「OUT of MUSIC WEB」にて公開予定です。
MIKOLAS(ミコラス)
チェコ共和国のシンガー、ソングライター、プロデューサー。 1995 年 10 月 4 日、チェコ共和国プラハ生まれ。 現在、チェコとスロバキアで最もストリーミングされている現役の音楽アーティスト。 2018 年、 “Lie to Me “ のヒットでチェコ代表としてユーロビジョン・ソング・コンテスト (1956 年から続く、 ABBA や セリーヌ・ディオンといった世界的スターたちが売れるきっかけとなった欧州放送局 85 局が参加する音楽コンテス ト ) に出場し、 6 位入賞を果たす。2023年リリースの「Delilah」 は、 6 月のリリース以来、億再生を超える勢いで急上昇、バイラルヒットとなり、Spotify で世界トップ 50 に入るなど、国際的な認知度にもつながった。デビュー・アルバムは 2024 年 3 月 22 日にリリース、 Spotify の広告塔としてニューヨーク・タイムズスクエア のビルボードで大々的にプロモーション展開された。 2024 年 4 月に SKY-HI のナビゲートする J-WAVE のラジオ「 DIVE TO THE WORLD 」にゲストで共演。
SKY-HI(スカイハイ)
株式会社 BMSG 代表取締役 CEO であると同時に、ラッパー、トラックメイカー、プロデューサー。 自らもアーティストとして幅広く活動をおこなっている。 2005 年 AAA のメンバーとしてデビューし、同時期からソロ名義「 SKY-HI 」として都内クラブ等で活動を開始。 数々の受賞や大型興行、フェスでのメインアクトやワールドツアーなどの功績を残す。 2020 年「才能を殺さないために。」をスローガンにマネジメント / レーベル BMSG を設立。 翌年オーディション “THE FIRST” やそこから生まれた “BE:FIRST” 、 2023 年には 2 組目のグループ ”MAZZEL” のプロ デュースを手がける。 2023年に、アーティストとしては、アリーナツアーを成功させた。その他、著書『マネジメントのはなし。』 の出版や数々のカンファレンスに登壇や社長同士の対談などの活動も行っている。
LALALALALALALALALALA (Tokyo Version) MIKOLAS, SKY-HI Music: Mikolas Josef, Marco Quisisana, Cristiano Cesario Lyrics: Mikolas Josef / SKY-HI