グローバルーな活動を展開する精鋭、7人組ダンス・ボーカルグループPSYCHIC FEVER。近年では、JP THE WAVYプロデュース曲「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」がSpotifyバイラルチャートトップ50にて日本を含めたアジア9か国でチャートイン。TikTok総再生回数2億5,000万回を突破。タイをはじめとした海外のイベントにも多数出演し、中国の大型ミュージックアワード『WEIBO MUSIC AWARDS 2024』にて新人賞も受賞、また単独アジアツアー『PSYCHIC FEVER ASIA TOUR 2024 “HEAT”』を開催、2025,年のUSツアーも決定するとなど、グローバルに爆進&活躍中だ。そんな世界地平に立つ彼らの最新曲「TALK TO ME NICE feat. TAMP」は、ベースの音圧とリズムで煽るHIPHOPのトラックと、「TALK TO ME NICE」=「俺に敬意を払え、俺様が通るぞ」という存在証明の旗を打ち立て、アゲインストをかき分けて頂点を目指す、アグレッシブなリリックが象徴的なHIPHOPチューン。一見ハードな口当たりと、そこ通り越した先に見えるポップセンスが、PSYCHIC FEVER独自の響きとして聴き手を魅了する注目の楽曲だ。その魅力、聴きどころ、制作エピソードについて、語ってもらった!
インタビュー=吉田直樹(OUT of MUSIC) 写真=Cosufi(コスフィー)
強い存在証明を示した、アグレッシブなHIPHOPチューン
――世界地平に立つ最新曲「TALK TO ME NICE feat. TAMP」は、「TALK TO ME NICE」=「俺に敬意を払え、俺様が通るぞ」というタイトル通り、強い存在証明を示した、アグレッシブなHIPHOPチューンです。
中西椋雅●この楽曲「TALK TO ME NICE feat. TAMP」は、以前からお世話になっている、タイの楽曲プロデューサーNINOさんが監修してくださいました。これまても、「To The Top feat. DVI」、「FIRE feat. SPRITE」や「BEE-PO」などでNINOさんと、制作をご一緒させていただいています。この楽曲の制作にあたって、さまざまなリファレンス(楽曲のイメージ方向性を共有するための参考音源)を出させていただきました。さまざまな国、さまざまな場所でのライブやイベントでパフォーマンスしてきましたが、そこで感じたのは、「盛り上がる楽曲」「勢いのある楽曲」がもっと欲しいということと、僕たちのことを知らない方にも楽しんでもらえるサウンド、楽曲を作っていきたいよね、という思いいでした。そうした気持ちを、リファレンスを通じて共有しながら、制作した楽曲です。
――ベースの音圧とリズムで煽るHIPHOPのトラック、「TALK TO ME NICE」=「俺に敬意を払え、俺様が通るぞ」というタイトル通り、存在証明の旗を打ち立て、アゲインストをかき分けて頂点を目指す、アグレッシブな楽曲ですね。
JIMMY●「ここから突き進んでいくから、邪魔すんじゃねえぞ」という気持ちを、そのまま表しています。この楽曲はビートを打つところから、プロデューサーのNINOさんと一緒に制作させていただいて、僕らがライブでこういう楽曲が欲しいですというリファレンスを集めながら、一から手取り足取り作った楽曲です。完成した後も日本でNINOさんがセッションキャンプをしていて、僕らもそこに参加してお披露目会というか「出来たよー」と、披露させていただいて、そこでもめちゃめちゃかっこいい曲ができたと実感できました。ライブ映えして、みなさんに〈talk, to me nice〉と一緒に言っていただいて、盛り上がれる曲ができたと思いましたし、自信か持てました。
中西椋雅●このタイミングでのリリースですが、じつは結構前に作った楽曲で、パフォーマンスも初めてやったのが今年の5月くらいでした。11月までリリース情報も出さず、曲名も出さず、ファンの方にとっては「何の曲なんだろう?」という「謎の曲」状態で、いままでやったことのないようなリリース形式なので、そういった面でも楽しんでいただけたらと思っています。
JIMMY●自分もずっとリリースを楽しみにしていました。今回、たまたま、タイミングがUSツアーの前ということもあるので、キックオフソングのような位置づけの曲ともいえると思います。ツアーのパフォーマンスの軸になっていく楽曲だと感じています。
――最初はハードなHIPHOPの口当たりが強く感じるのだけど「ただハードなだけではないな」というニュアンスを感じましたし、結果、何回も聴いてしまう、中毒性もあると思いました。とくに、全体の曲構成でポップさも感じました。
剣●本当にそうだと思います。
JIMMY●NINOさんの音楽性でいうと、HIPHOPがルーツ、ベースではあるんですけど、「FIRE feat. SPRITE」や「BEE-PO」を聴いて感じていただける通り、J-POPやT-POPのエッセンスというか、起承転結をきれいに作るということも意識されている方なので、おっしゃっていただいた「構成のポップさ」という点も意識して制作されたんだと思います。
――なるほど~、そういうことだったんですね。この「TALK TO ME NICE feat. TAMP」は展開が早いというか、景色がテンポよく変わるんです。「次は?」って感情が起き上がるので、曲の進行が促されますよね。
全員●ありがとうございます(照笑い)。
――ハードなサウンドでゴリゴリ粘っこく行くのかなと思わせておいて…。
小波津志●じつは、聴きやすい。
メンバーが思う楽曲のポイント
――ですよね。志さんが思うこの曲の魅力は?
小波津志●聴きどころで言うと、僕はやはり、サビの〈Talk to me, talk, talk, to me nice〉の部分ですね。あからさまに言いまくっている部分が一回聴いただけで耳に残ると思いますし、WEESAが歌っているのですが、実はちょっと複雑な部分もありつつ、キャッチーでもあるという、いいサビだと思います。サビパート全体で、一か所日本語の〈もしBad なら無視してOK? 〉という歌詞もあるのですが、そこもかっこよくて好きです。サビとしてまとまっていて、お気に入りのパートです。
――改めて、このサビパートを少し説明すると、〈Talk to me, talk, talk, to me nice〉という歌詞は「俺に敬意を払え、俺様が通るぞ」という意味で、WEESAさんの歌唱のニュアンスが「お前、何言ってんだよ」的な、ちょっと苛立ちを含んだ挑発的な声質なんですよね。「トク トゥミ ナイッ トーーク トゥミ ナイッ」って、カタカナで言うとこんな感じで。
WEESA●「TALK TO ME NICE feat. TAMP」は、レコーディングからすごくこだわって作らせていただいて、ボーカルもいろんな声質を試したり、たとえば、4種類、録音してそれを聴き比べて、どれがいいかとか、ひとつひとつ細かく、一番いい表現こだわりました。こういう曲を歌ったことがあまりなかったので、難しかった部分もありましたけど、新しい音楽の表情を感じて聴いていただけたらと思います。楽しみです。
――最初は「WEESAさんのパート、どこだろう?」ってちょっと迷いました(笑)。MV(ミュージックビデオ)見ればすぐわかりますけど、音源だけだと、意外と難しい。「WEESAさんは“切り込み隊長”だから、曲頭とか、サビもそうだよなぁ」とは予想しましたけど…。
剣●そうですよね、ちょっと迷うかもしれない。
WEESA●声質で言うと、いつもは、もっと角が丸いというか、当たりの柔らかいニュアンスのイメージが強いかもしれないですけど、この曲は、結構パキっとシャープで鋭い声なので。
――こだわりの声質、ニュアンスですよね。龍臣さんは、「TALK TO ME NICE feat. TAMP」について、いかがですか?
半田龍臣●これまでの僕たちの表題曲で、1Aパート(楽曲構成の最初のパート)からラップで入る曲って、なかったと思うのですが、1AからガッツリJIMMYくんのラップから思いっきり攻めていく楽曲なので、「ザ・男」というイメージが全面に出てますし、生き生きとした姿をお見せできていると思います。この曲のデモ音源では、女性の方がラップ・ボーカルを歌っていて、それにあわせてメンバーみんな、いままでにないような声の出し方だったり、歌い方もしていますので、聴きどころの一つだと思います。
――最初のJIMMYさんの声で、まず印象付けられました。あと、すぐわかりました「あ、JIMMYさん」て(笑)。
JIMMY●日本で制作するときは、基本的には、デモ音源にアジャスト(適応)するようなアプローチでレコーディングする場合が多いんですね。エンジニアの方もディレクターの方も、タイミングとかピッチ感とか含め、デモ音源に合わせて制作していくんです。でも、今回はデモ音源をかなり自分に寄せてレーディングしました(笑)。
――デモ音源に合わせなかったわけですね。
JIMMY●今回、デモ音源のボーカルが女性で、僕のパートは、ピッチ高めのボーカルで、キレイでさらっとカワイイ感じだったんですけど「ここめっちゃ低く歌ったらどうだろう?」って思って、勢いのある曲だけど、重心下げて歌いました。ボーカルも結構重ねてます。激しいんですけど、ちょっと落ち着いた貫禄のある感じを出せればいいかなと思って、その辺を狙ってREC(レック=レコーディング)しました。
レコーディングアプローチ
――JMMYさんのパートは〈I said cut the drama ‘fore you get your karma〉というリリックから始まります。要約すると「揉め事はやめろって言ったじゃん、罰があたる前に」という意味ですが、サウンドとテーマを濃くするための、キャラクターと情景描写と捉えればいいですかね、「TALK TO ME NICE」=「俺に敬意を払え、俺様が通るぞ」という強い存在証明を示したアグレッシブな曲のサウンドとテーマを濃くしてく物語の導入部分です。JMMYさんは「重心低めで、貫禄のある感じ」ともおっしゃいましたが、そのあと〈 It sounds like boom, ka boom, you hear〉(=ドーン ドドーンって聞こえてくる )というリリックが特にわかりやすく言葉で言ってる部分ですよね。音ハメというか、サウンドをリリックで強調してて、ベースの音圧とリズムをさらにグルーヴさせてます。音の気持ちよさを強くしているわけですね。ちなみに、リズムの取り方とかはどうですか?「貫禄」というワードからすると、 ちょっと後ろ気味(基準のテンポに対して少し遅れてリズムをとっていく)を意識したような感じだっのかなと。
JIMMY●そうですね、でも僕は基本オンビート(基本のビートに対して前気味や後ろ気味ではなく、そのままのリズムをとる)ですし、今回は最初なので、リズムの基盤を作るという意味でも、まずはオンビートで行って、そのあとに、廉にアクションいれてもらったり、剣くんもチャレンジングなパートだったので、続くメンバーにそれぞれ個性、アクセントをつくってもらうように、そこに繋げられるように意識しました。
――なるほど、ちなみに剣さんのパートがチャレンジングとおっしゃいましたが、僕どこが剣さんのパートなのか、最後までハッキリ自信もって「ここだ!」と言い切れなかったです。MV(ミュージックビデオ)見て、初めてわかりました。
剣●ホントですか?(笑顔)、うれしいです。新しいオレを表現できてましたか! 実は自分のパート、めっちゃ苦戦したんです。先ほどJIMMYが言ったように、デモ音源のボーカルが女性の方だったのですが、それが「マジ、今まで聴いたことない、このバイブス」という感じのボーカルだったんです。それで、どうやって表現しようか、歌おうかっていろいろ考えたんですね、英語の発音の仕方とか調整したり、あれこれ探してたら、「あ、これ、いけるかも!」っていう表現を発見して「いい自分が出せるかも」って思って。
――剣さんのパートは〈do it my way What do you say We go up and down that’s how we make a scene〉という英語歌詞の部分、「自分のやり方でやるぜ」という意思表示している部分ですよね。トラックのビート感も増して、剣さんの声の高さを活かしつつ、さらに圧と切れ味が増してグルーヴする、そういうイメージのパートです。
剣●もともと、地声が高いので、高音パートを歌うことにストレスはなかったです。なので音自体はすぐに出せたんですけど、高いだけではなく、激しい、エネルギーのある高い声を出さなきゃいけなかったので、そこが大変でした。レコーディングの前に、高い声出して、喉を慣らしてから、スタジオに行きました。ちょっと枯れてるくらいでもいいかなと思って、結果、イイ「しゃがれ声」になったと思います。
――そうなんですね。「しゃがれ声」とおっしゃったけど、音源を聴いて「キレイだな」という印象も感じたので、その辺が「イイ、しゃがれ声」ということなのかな?
剣●そうかもしれないです。レコーディングのとき、自分の声がコード(ヘッドフォン、マイク、ミキサーなどレコーディング機材をつなぐコード)を通っていい感じに録音されているのがわかりました(笑)。すっごいマニアックな話になっちゃうんですけど(笑)、NINOさんとのやり取りを通じて、マスタリングの過程で、どんどんクリアになっていって、イイ感じなのが、ヘッドフォンで聴いててわかるんですよね。
――廉さんのラップパートは、ラップ感とメロ感が絶妙なニュアンスでした。
渡邉廉●意外とラップは久しぶりだったので、どういう感じで行こうかってすごく悩んだんですが、英語メインで、すごく勢いのある曲なので、自分の中でキャラづくりを意識しました。声質も、力の入れどころを調整して発声したり、意識しながらやりました。
――〈Better stay up in your lane Don’t cross the line〉というリリックから始まりますが、要するに「一線を越えるなよ、越えたらどうなるかわかるよね」という警告、自己主張、そういうシーンです。それ以上行くと爆発する前の少し抑えたトーン、そういうニュアンスですかね。
渡邉廉●表現が難しいんですけど、今までやってきた自分の日本語ラップのイメージとは、ちょっと違うような雰囲気でレコーディングさせていただきました。自分でしか分わからないかもしれないですが、分かる人にはわかるかもしれない(笑)、今までとは違う廉のラップなのかなと思います。
中西椋雅●今までとは違う聞こえ方をしているのかもしれないです。今回は、声を重ねて録音しているので、それも理由のひとつかもしれないです。通常、僕たちの曲はデータ一本で仕上げることが多いんですけど、今回、かなり重ねて厚みが出ているので、その点でちょっと違う聞こえ方をしているのかもしれないです。
――なるほど。声を重ねると、厚みも出るし、奥行きもでるし、キラキラもするんだけど、匿名性は増すというか。「一人」という認識がちょっと滲むから、そういうのも含め聞こえ方が違うのかもしれない。椋雅さんご自身のパートはいかがですか?
中西椋雅●僕のパート、〈Drop it down jumping in the ring〉という歌詞部分なんですけど、入口(の音程)がすごく低くて、低いところから次の〈You know what’s up〉で急に上がるんですけど、その切り替えが難しいですね。そこは苦戦しましたね。で、そのバックで鳴っている“ガヤ”パートも、けっこう叫んでいて、そういう音と重ねて作ったので、そこもNINOさんのセンスというか、自分たちにはない発想で、テイクを選んでくださっていたので、NINOさんのセンスなんだろうなと思いました。参考になりました。
――椋雅さんのパートもメッセージとして攻撃的な表情を保ちつつ、楽曲の構成的に前後の関係を意識した重要な役割ですよね。いま、音楽的なNINOさんのセンスというお話が出ましたが、タイの方の感覚って、どんなところが日本と違います?
中西椋雅●うーん、そうですねぇ、レコーディングでの録り方も違うし、感情の込め方とかも、基本的には日本と変わらない部分もありつつ、さらに超えてくるというか。ただ、微妙な違いはあるんですけど、クリアに説明してくださるので、やりやすいです。ディレクションのイメージが具体的でわかりやすいし、幅も広いなと感じました。
――ちなみに、この曲には、フィーチャリングということで、タイのアーティストであるTANPさんも登場しています。
中西椋雅●TANPくんは、もともとR&B系を得意とするアーティストで「TALK TO ME NICE feat. TAMP」のようなハードなHIPHOP系ではないですよね。PSYCHIC FEVERのリリックを書いてくれたり、メロディ考えてくれたり、一緒にやっている仲間なので、彼のニュアンスは肌で感じてわかります。そういう彼なりのエッセンスは彼にしかないものなので、彼の世界感と僕らPSYCHIC FEVERの世界感のケミストリーが起こるし、彼だから作れる世界だと思います。
※このインタビューの全編は、次号OUT of MUSIC87(2025年1月下旬発刊予定)に、もしくは、この「OUT of MUSIC WEB」にて公開予定です。
※関連記事 → 【特集ハイライト】7人組ダンス&ボーカルグループ PSYCHIC FEVER × 人気ラッパー JP THE WAVY インタビュー OUT of MUSIC 84掲載
PSYCHIC FEVER(サイキック フィーバー)
PSYCHIC FEVERは、LDH JAPANに所属する世界に類を見ない日本のアーティスト集団“EXILE TRIBE”から7番目のグループとして2022年7月にデビューしたKOKORO, WEESA, TSURUGI, RYOGA, REN, JIMMY, RYUSHINの7人組ボーイズグループ。7人それぞれ独自のルーツによる一人ひとり違う個性が魅力となりダンス、ヴォーカル、ラップによるパフォーマンスが化学反応を起こすことからPSYCHIC FEVERと名付けられた。(ファンネームはForEVER)グローバルでの活躍を目指し2022年のデビュー時から日本をはじめ、アジアを中心に活動し、タイ、インドネシア、ベトナムなど各国でアジア最大級のミュージックフェスに出演し観客にインパクトを与え続けている。”IGNITE YOUR DREAMS”をパーパスとして掲げるPSYCHIC FEVERは、そのパフォーマンスで見る者に夢に向かう勇気を与え、その心に火をつける存在となっている。2024年は、アジアのトップへ、そして世界へと、PSYCHIC FEVERの挑戦はさらに加速していく。2024年11月4日最新曲「TALK TO ME NICE feat. TAMP」配信開始。2025年にスタートするUSツアーも決定!