

ダンス&ボーカルソロアーティスト、岩田剛典。EXILE/三代目 J SOUL BROTHESのパフォーマーとして、また俳優としても活動しながら、ソロアーティストとして新しい地平を拓き、活躍している。パフォーマー出身者として初となる単独アリーナツアー『Takanori Iwata LIVE TOUR 2024 “ARTLESS”』では、新しいエンタテイメントを示し、多くのファンを魅了、話題となった(Blu-ray&DVD『Takanori Iwata LIVE TOUR 2024 “ARTLESS”』大好評発売中)。人生を懸けて臨んだというこのツアーは、先駆けリリースされた2ndアルバム『ARTLESS』が軸となっている。「ありのまま」を意味するタイトル『ARTLESS』。今作には、岩田自ら作詞を手掛けた楽曲を中心とする10曲が収録されており、音源だけでもライブの光景が思い浮かぶ1枚。緻密でグルーヴィーで重厚なリズムアレンジ、トレンド感とルーツ感、メッセージを後押しするサウンド、ダンスの躍動とのコントラストも鮮やかな、美しい響きと自分らしさを届けるボーカル。ソロアーティスト、岩田剛典が魅せる、新たなエンタテイメントの輪郭を楽曲から紐解く。巻頭特集インタビュー!

新しい時代を象徴する、新たな存在
――パフォーマー出身者としては初となる単独アリーナツアー『Takanori Iwata LIVE TOUR 2024 “ARTLESS”』は、アーティスト岩田剛典のエンタテイメントを示し、多くのファンを魅了し、大変話題となりました。
●ダンスだけをやってきて、芸能界デビューした人間が、ソロとしてアリーナツアーを回るのって、恐らく初めてのことだと思うんですよね。そんな記念すべきツアーを実現できたのは、ファンのみなさんのおかげだと思っています。でも、自分自身、これが当たり前じゃないことをよく分かっているので、これが最初で最後かもしれないと思って(笑)、アリーナツアーを回らせていただきました。
――いいやいや、最後かもって(笑)。
●もちろん、そうならないように頑張ります(笑)。
――(吉田編集長)僕は、岩田さんの“自分らしく”という存在そのものが新しい世界の共感を象徴しているように感じています。見た目のさわやかなイメージはもちろんなんだけど。ダンスからスタートして、現在では歌や音楽だけでなく、映画、テレビ、CMと様々な方面で活躍、多くのメディアにも登場し、誰もが知る存在で、誰もがそういうイメージを持っている一方、さらに目に見えている側面だけでなく、一歩奥を覗いてみると、ソロ活動のプロジェクト「Be My guest」(おもてなし)については、自ら企画書を作ってプレゼンし始動もさせた。そうして周囲を巻き込みながら、ソロ活動の地盤をつくり、ソロデビューし、ツアーも開催へ導いた。演者でもあり、制作者でもある。そして、作詞、振付けも手掛けるクリエイターでもある。植物に例えれば岩田剛典というアーティストが「花」だとしたら、アルバムやツアーは「実」や「果実」ともいえる、それと同時に、その花を咲かせ、果実を実らせねるために,「茎」や「根」や「土壌」に関することまで自分が中心となって動いている。さらに遡れば「種」はまさに岩田さんの意志、気持ち、自分らしさの源泉とも言える。こうした一連のムーブと、そのクォリティとエンタテイメント性とインパクトとの集合値具合というか、重なり部分の広さ濃さというか、それがまた新しい地平に踏み込んでいるなと感じます。
●ありがとうございます。
――(吉田編集長)こうした側面を知ると「岩田剛典」というアーティストにますます興味が湧くというか、もっともっと深く知りたいという欲求と共感がわいてくるんです。歌やダンスが「カッコイイ」「あんな存在になりたい」という憧れの気持ちから始まって「どういう思考なんだろう」「どんな思いなんだろう」「こんな事もやるのか!」と内面にも入り込んでみたくなる。今回のインタビューは、話題の単独アリーナツアー『Takanori Iwata LIVE TOUR 2024 “ARTLESS”』と、その軸となる自ら作詞を手掛けた多くの楽曲が収録されている2ndアルバム『ARTLESS』から、岩田さんを深堀りしてみたいと思っています。
●はい、お願いします。
――では、2ndアルバム『ARTLESS』について、伺いたいのですが、今作に向けてはいつ頃から動き始めたのでしょうか。
●昨年もマイペースに配信シングルを発表してきて、11月に先行配信した『モノクロの世界』(アルバム収録のラブソング)も、2022年から制作していたんですけど、アルバムの制作も初のソロツアー(『Takanori Iwata LIVE TOUR 2022 “THE CHOCOLATE BOX”』)が終わってすぐ、2022年12月くらいから取り掛かりました。なので、制作期間でいうと約1年かかりましたね。だからこそ、3月23日に宮城セキスイハイムスーパーアリーナ(GRANDE・21)で、『Takanori Iwata LIVE TOUR 2024 “ARTLESS”』の初日を迎えた時は、ペンライトで埋め尽くされた会場の景色を見て感動しました。アルバムの楽曲達はこのツアーを目的として制作したようなものでしたから、制作期間の水面下で活動が日の目を見た瞬間でもあり、とても感慨深かったです。
――ツアーを見据えて制作したということは、つまり……?
●前回の『Takanori Iwata LIVE TOUR 2022 “THE CHOCOLATE BOX”』はホールツアーということもあり、朗読劇も織り交ぜながらライブを構成したんですけど、今回はアリーナツアーだから、もうちょっとアップテンポの楽曲がないとライブ空間が物寂しいんじゃないかな? と思って、ライブ映えしそうなデモを集めたんです。で、新曲たちはちゃんとビデオも撮ってプロモーションしていこうと。そうすることで、アリーナツアーに向けて、ファンのみなさんと一緒に気持ちを高めていけたらいいなと思っていました。
――新曲のMV(ミュージックビデオ)が続々と公開されたのは、そういう意図があったんですね。アルバムに『ARTLESS』と名付けたのは、曲が出揃ってからですか?
●そうですね。『ARTLESS』には“ありのまま”や“着飾らない”といった意味があるのですが、それは僕がソロプロジェクト「Be My guest」をやるにあたって大事にしていることですし、今、自分が作りたいと思う曲を好きなように作ったので、一番しっくりくる言葉だなと思ったんです。
――1月にアルバムから先行配信されたダンスチューン『Just You and Me』(Lyrics: Takanori Iwata, Toru Ishikawa/Music: Toru Ishikawa, SILLY TEMBA)に〈ありのままの君でいい〉という歌詞があったので、てっきりアルバムタイトル(コンセプト)を先に決めて、それを踏まえて新曲を制作したのかと思っていたのですが、順番が違ったんですね。
●確かに『Just You and Me』は、生きづらい世の中でも自分らしく生きることの美しさを歌いたいと思い、光や希望をイメージしながら作詞したので、伝えたいメッセージはリンクしているんですけど。実際のところは、普段から僕が考えていることが歌詞になり、アルバムタイトルになっているから、結果的に『Just You and Me』の歌詞と被ったっていう流れです(笑)。他の曲も、他の方に作詞していただいた『Honest』以外は、なんとなく歌詞が似ちゃった部分があるしね。でも逆に言うと、自分の根本にある好きなモノや考え方が長年ブレていないってことだと思うので、これが僕の“ありのまま”だと思ってもらえたら嬉しいです。
『Paradise』
――ではここからは、アルバム収録曲について、いくつかピックアップしながら伺っていきます。まずは、2月に先行配信されたリード曲『Paradise』(Lyrics: Takanori Iwata, SUNNY BOY,SIRIUS, MOONCHILD/Music: Seiji Omote, Fuminori Kagajo, SIRIUS, MOONCHILD)のお話から。
●『Just You and Me』もダンスチューンですが、それに続いて配信したリード曲の『Paradise』も軽快なダンスチューンですね。こちらは曲調もご機嫌な雰囲気ですし、歌詞もアリーナツアーの会場を“楽園”に見立てて、そこに僕がファンのみんなを連れていくイメージで書きました。そしたら、アリーナツアーを回る春から初夏にピッタリの1曲に仕上がって。もともとリード曲を目指して作っていたわけではないんですが、出揃った楽曲を改めて聴いた時に、『Paradise』が一番リードにふさわしいなと感じました。
――(吉田編集長)この曲は音楽ジャンルでいうと?
●2ステップですね。
――(吉田編集長)曲を聴いた時に、分厚いというか、2つのトラックを重ねたような印象があって。
●どんどんブラッシュアップして派手にしていったし、トラックの音色とかは結構いじってますからね。ダブステップっぽいところもあるし。でも、もともとは2000年代初頭の雰囲気というか、クレイグ・デイヴィッドみたいな曲調を目指して作っていったので、聴いていて心地よいサウンドなんじゃないかなと思います。
――(吉田編集長)アルバムの1曲目にこの曲が来て、すごいカッコいいな!って思いました。
●(パッと笑顔になって)嬉しい~!『Paradise』はリードだし、このアルバムを印象付ける曲にしたかったので、曲順を考える時にあえて1曲目に持ってきました。
――この曲の作詞を共作されたSUNNY BOYさんは、三代目 J SOUL BROTHERSをはじめ、人気アーティストの楽曲を多数手掛ける音楽プロデューサーですが、一緒に制作してみていかがでしたか?
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※インタビュー=斉藤碧 写真=Cosufi(コスフィー) アシスタント=大鐘優希
撮影協力(花、セレクト)=有限会社 四季フラワー

この記事の続き(表紙・巻頭特集 18ページ 1万7000字 ロングインタビュー)、撮り下ろし写真は『OUT of MUSIC 85』に掲載です。ご購入ご希望の方は、または下記画像リンクからお求めください。(また全国書店、CDショップ、ネットショップでのお取り寄せも可能です)
