
楽曲「蜘蛛の糸」、そのインパクト、圧倒的な存在感、特別感

ニューアルバム『(R)ENEW』の一曲目を飾る楽曲「蜘蛛の糸」は、まずそのインパクト、圧倒的な存在感、特別感に驚かされる。HIPHOPをベースにしながらも、サウンドを印象付けるのは、和太鼓、尺八、三味線など日本の伝統的な楽器の音で、それらが醸し出す緊張感、緊迫感、不安感と、それを背景に歌われているのは、周囲に潜む敵、罠、危険と、それを克服、乗り越え先を目指す意思だ。まとわりつくように、抜け出せない状況は、自分を邪魔する人間関係、集団、社会といったものを想起させ、聴き手の現実と重なり、「頂点を目指す」という強いメッセージは、闘志に火をつける。そうしたテーマ、メッセージを絶妙のニュアンスと声質、変幻自在のラップと、緊張感の中に見出した一筋の鮮やかさのようなボーカルが歌い届けている。HIPHOPをベースに、和のサウンド、鋭いラップ、歌、そしてダンスが、高度に融合し、唯一無二の質感を感じさせる。
メンバー自身はどう感じたのか。この「蜘蛛の糸」ついて、川村壱馬は「自分たちにハマった実感がすごくあった」と語った。「デモの時点から、安心だったというか。レコーディングで、さらにいい曲にできる、と感じた」と、デモを聴いた段階で、確かな感触を得ていたようだ。一聴して感じるのは、曲の世界へ引きずり込ませる力の強さ。イントロは、まず尺八の音が響く。敵の気配、間合い、そこに吹く空っ風、戦いの合図のような、そんな尺八の音色に、太鼓のリズムと緊迫感を煽るサイレン音が響き、空間を埋めていく。太鼓のリズムに三味線が重なり、まとわりつくようなニュアンスで<Caught in a WEB>という尖った声が入る。「こういうダークな雰囲気がめっちゃ好きですね。「影」というか、存在が影のような」(陣)、「サイレントキラーっぽい、暗闇の中で仕留めるみたいな雰囲気」(山本彰吾)と表現しているが、16人というグループだからこその「軍団感」というイメージが重なる。