
今一番自信を持って出せる曲

こうした音楽的なケミストリーを経て、「ヤバい状況」に囲まれながらも先を目指す「生存本能」「闘争心」に火をつける、エネルギーを聴き手に届けているのが「蜘蛛の糸」という曲だ。
ここまで「蜘蛛の糸」について、サウンド、リリック、ラップ、ボーカルを近視的に見て、その魅力の源泉を探ってきたが、一旦スタートに戻って、その第一印象を改めて確認したい。筆者が感じたのは「THE RAMPAGEを知っている、知らないにかかわらず、誰もがTHE RAMPAGEらしさを感じる曲」ということだった。どういうことか。それはここまで言及した「ハマった」という感触の背景から見えたものとは別のことで、もっと精神的なものと言えばよいか。簡単に言うと「ランペっぽい」と直感的に感じたのだ。その理由は何なのか、直感の凹みを埋めてくれるピースがどこにあるのか、それを頭の隅で感じながら、メンバー4人との取材を進めた。そして、とても腑に落ちたのは、陣のこんな発言だった。「わざわざそこ(尖った歌詞)を言っているというより、自然にいつも僕たちTHE RAMPAGEが思っていること、それを表現している曲なんです」「THE RAMPAGEって「何かのふりをする」「何々ぶる」ということができないんですよ、自分たちがそのまま出ちゃうグループなので」。この発言を聞いたとき、心の中で激しく納得した。THE RAMPAGEにとって「蜘蛛の糸」という曲は「いつもの自分たち」なのだと。
そして山本彰吾の発言が、さらに深く根源的な思考へ導く。「(曲が)太鼓や、和の楽器から始まる瞬間、日本を感じる。それって言うたら「大和魂」だと思う。パフォーマーとかアーティスト以前に、一人の日本人として、人間としてここに立っているというアイデンティティ、その感触だ」。THE RAMPAGEの音楽、曲から出ている感情の真っ直ぐさみたいなもの、個人感、一人称感、原初感、衝動感のような感触…例えばロックバンドのそれのような、そうした精神性をも感じていたのだが、それがこの山本彰吾の発言と結びついて、腑に落ちた。THE RAMPAGE、その音楽の「リアルな感触」の理由は、メンバーのアイデンティティや精神性、その奥深いところから伸ばした線の先に音楽があるからだ。音楽をたどると魂や心に触れる、それがTHE RAMPAGEの音楽なのだ。
この「蜘蛛の糸」という曲は今のTHE RAMPAGEにとってどんな曲なのか、それは川村壱馬の次の言葉に集約されている。「これがTHE RAMPAGEですと、今一番自信を持って出せる曲」。それがこの「蜘蛛の糸」という曲であり、THE RAMPAGEの進化、未来を指すリアルな輝き、響きなのだ。
※この記事で引用したメンバー発言を含むインタビュー本編は、次号【OUT of MUSIC 88号本誌】、もしくはこの【OUT of MUSIC WEB】にて掲載予定です。Xにて告知していきます。
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THE RAMPAGE(ザ・ランペイジ)
EXILEの魂を引き継ぐ16人組ダンス&ボーカルグループTHE RAMPAGE。メンバーは、ボーカルのRIKU、川村壱馬、吉野北人、パフォーマーのLIKIYA、陣、神谷健太、与那嶺瑠唯、山本彰吾、岩谷翔吾、浦川翔平、藤原樹、武知海青、長谷川慎、龍、鈴木昂秀、後藤拓磨。2014年9月正式結成。2024年7月24日、LDHやEXILE TRIBEを象徴する歴史ある“24karatsシリーズ”を正式継承したSingle『24karats GOLD GENESIS』リリース。同年9月11日・12日には、3年ぶりの単独ドーム公演『THE RAMPAGE LIMITED LIVE 2024 *p(R)ojectR® at TOKYO DOME』開催。2025年3月5日、2年6か月振りとなるオリジナルアルバム『(R)ENEW』リリース。2025年のツアー「THE RAMPAGE LIVE TOUR 2025 “PRIMAL SPIDER”」と完全連動となる作品。