
変幻自在のラップ
――とにかく、漂う雰囲気がすごいですし、出だしのラップからしてカッコイイ。このラップは壱馬さん? (取材時点では音源をメインにインタビュー、MVは詳細未確認状態)。
川村壱馬●そうですね。
――狙いを定めているかのようなニュアンスのラップですよね。
川村壱馬●(笑顔)。僕のパートで言うと、ラップのアプローチが、いままでやったことのないようなアプローチもあって、この一曲を通して、かなりバリエーションを色づけできたと思います。
――おっしゃる通り、うなるようなベースサウンドと和太鼓と三味線のビートに乗せて、冒頭からさまざまなスタイル、声質のラップが登場します。ラップパート16小節のうち、最初の8小節は、冷静に狙いを定めているかのような語り口のラップ。少し枯れて尖った質感の声と三味線サウンドが刻むビートの絡みが気持ちを煽ります。繰り出される言葉たちは〈静寂の中響くVibration〉〈数え切れないTraps, Enemies〉といった歌詞で「蜘蛛の糸」の世界観、感情をより濃く描いていきます。この8小節の最後で声が本来の壱馬さんの声に戻るというか、一旦ニュートラルな声質に戻る感覚を与えますよね。
川村壱馬●はい、確かに。
――続く8小節の前半4小節で一変、クセのある、少しシャウト気味に語尾を上げたラップで「おっ」と聴き手に驚きを与えつつ、そして残り4小節では、リズムでバリエーションを作って、さらにそのリズムも崩しながら、聴き手を翻弄するかのように変幻自在のフロウが繰り広げられ、〈容赦ないWho’s on top?〉〈糸が描くのは“Do or Die”〉〈傷から流れる真っ黒な血を〉というリリックで、ヤバい状況下での生存競争という情景を描いています。
陣●うんうん(確認するように頷く)。
――この一連のフロウ、カッコイイですよね。最初の8小節は壱馬さんのラップですが、その次のクセ強めのラップ以降は誰が担当したんですか?(取材時点では、MVを見ていないので、声でメンバーを判別できなかった)。
川村壱馬●僕です。
――えーっ!!!!(驚く)、そうなの? これ誰がやってるんだろう? って、ずっと思ってて…えーっ?(改めて驚く)。
全員●(笑)。
LIKIYA●僕らも最初聴いたとき、誰だか分らなかったです(笑)。デモ音源かと思いました。
――てっきり、MA55IVE THE RAMPAGE(THE RAMPAGEのメンバー5人による別ユニット)のメンバーがやってると思ってました。
陣●やってそう(笑)。
LIKIYA●翔平(浦川翔平、MA55IVE THE RAMPAGEのメンバー)のとこにもそういうDMがめっちゃ来たって言ってました。「翔平さんですか?」って。
全員●あははははは(笑)。
――へぇ~、そうだったんですね(笑)。この「蜘蛛の糸」のラップパートは、ホント予測不能でした。フロウもそうだし、誰がやっているかもわからなかった。
川村壱馬●型にはまっていない…完全に、型にはまってないですよね(繰り返して強調)。
陣●ホント、何回も聴いてるけど、この流れはわからへん、想像できない。
――「えっ何?」「えっ次はどうなるの?」っていう「つかみ」と「送り」がすごく効いてる。こうやってラップパートで十二分に聴き手を曲の世界に引きずり込んだところで、今度は、色彩が一変、メロディパートに入ります。THE RAMPAGEが誇るスリボ(スリーボーカル、ボーカル三人)、壱馬さんに続いて、RIKUさん、北人さんの登場。
川村壱馬●最初は北人(吉野北人)ですね。「♪ Oh 強くなる波動で~」(歌いながら)の部分からのメロパートですよね。
――はい。壱馬さんのラップパートとのコントラストでアクセントをつける感じ。ちょっとメロディアスな分、色彩感が増した印象です。ただ、メロディは怪しげなラインを描いていますよね。オリエンタル、中近東を思わせるメロディラインで、少し別世界、別次元感もあります。歌詞としては〈Oh 強くなる波動で 全てを巻き込んで〉とありますが、自分を邪魔する、罠、危険、敵を払いのけて頂上を目指す、その「生存本能」や「闘争心」の広がりや共鳴といったイメージを感じます。
壱馬●なんていうんですかね、曲としての怪しさみたいな雰囲気が、このメロパートでさらに強調されて、マジで引き立てあっているというか、曲自体をこう、作っていると思います。
山本彰吾●確かに。なんていうか、全員悪いヤツに見える良さがあるなと思いましたね。ボーカルもセオリー通りに歌うということをしていない。北人も型にハマらない聴かせかた、歌い方だと思いました。
――独特ですよね。北人さんのメロディパートは。
山本彰吾●RIKUさんもキレイな歌声の中に、ちょっとどよめきを含んだような歌い方というか。
――RIKUさんのパートは〈It’s time to become a symbol〉というリリックで、ニュアンスの存在感があるので、印象に残ります。
山本彰吾●そして壱馬の〈Huh 危険はむしろI’m down〉というラップで「危険を受け入れるよ」と示して、サビの〈Caught in a WEB〉につながっていく。ラップ、ボーカルそれぞれが「このまま行ったらヤバい」という怪しさがあるので、終始「ぞわぞわ」を感じます。この曲独特の怪しさにもつながってくるのかなと思いました。
――そういう怪しさ、スリリングさを、サウンド全体でもさらに後押ししている。
陣●そういう意味でも、やっぱり、DRUM TAOさん、すごいなと思いました。
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